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ネイティブ英語を話す必要なし 気楽な英語学習のための3つの根拠

こんにちは!Clever Appleです!!今回は、オーストラリアのウーロンゴン大学大学院でTESOL(英語教育法)を学んでいる私が、「ネイティブ英語」を話せるようになる必要がない理由を3つの観点から説明していきます!!

 

結論から言うと、①「ネイティブ」というのはあいまいな概念だから ②定義上、「ネイティブスピーカー」にはなれないから ③英語の会話の相手はほとんどが「ネイティブ」ではないからです。

 

 

 

それでは、始めましょう!!

 

 

 

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■この記事のまとめ■
・「ネイティブ英語」を話せるようになりたいと思っている英語学習者の方が、「ネイティブ英語」にこだわらなくてもいいと、気持ち的に楽になるような記事です。
 
 
 

 0.「ネイティブ神話」について

 

多くの日本人英語学習者の方が、「ネイティブのような英語」を話せるようになりたいと思っているのではないでしょうか。

 

私も大学、大学院で英語教授法を学ぶ前までは、その考えにとらわれていた学習者の一人でした...

 

 

でも、「ネイティブのような英語」って必要なのでしょうか?

 

「ネイティブのような英語」を話さなくてはいけないという固定観念、完璧主義にとらわれ、「日本人的な発音の英語で話すのは恥ずかしい」という理由から、英語のアウトプットの機会を失うのは、とてももったいないことです。

 

そんな方に英語学習をもっと楽しんでもらうため、「ネイティブ英語を話す必要はない」理由を説明していきます!

 

 

 1. ネイティブ英語」ってなんですか?

 

よく聞く言葉で「ネイティブ英語」というものがあります。

 

 

でも、「ネイティブ英語」とは誰の英語を指しているのでしょうか?

 

学校教育でメインに学んできた「アメリカ英語」のことでしょうか。

 

それでは、アメリカ英語」ってなんですか?

 

これに対して「ニューヨークに住む人の英語」と答えたとします。

それは、具体的にニューヨークの誰を指しているのでしょうか?

 

ニューヨークの中でも、人によって、話す英語は全然違います。

 

 

1つの州の中でも話す英語が違うため、50の州もあるアメリカで使われる英語は多種多様です。様々な人種や文化的背景を持つ人々がいて、その一人一人が「自分の英語」を話します。

 

 

さらに付け加えると、では、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語は学習のモデルとしての「ネイティブ英語」にはならないのでしょうか?

 

 

このように、「ネイティブ英語」という表現は曖昧で、もろいものであり、多くの「ネイティブ英語」を目指す人がそのぼやけた目標に向かって努力しているように思います。

 

 

 

 

では、「ネイティブ英語」の存在意義とはなんでしょうか?

 

それは、「基準としての中立な英語」だと思います。

 

例えば、Cook (2016)によると、イギリスのアナウンサーなどが話すReceived Pronunciation (容認発音)は、様々な英語を話すイギリス国内で、「どこでも、誰にでも通じる」という点で重要だと指摘しています。

 

ただ、これは、イギリス国内に限れられており、世界中の英語話者が理解しやすいということではありません。(通じやすい英語に関しては、3つ目のパートで詳しく話していきます。)

 

ネイティブスピーカーの話す英語は、単なる「基準」に過ぎず、それを狂信的に望むことは、「なかなか近づくことができない遠い目標」として英語学習者の前に立ちはだかり、英語学習もモチベーションを下げてしまうこともあるかもしれません。

 

 2. 日本人は「ネイティブスピーカーにはなれない」

 
次の理由は、日本人は「ネイティブスピーカー」にはなれないからです。
 
悲しいことを言うようですか、これは事実です。
 
 
Bloomfieldは、「ネイティブ」の定義を、「人が最初に学ぶ言語が母語(ネイティブランゲージ)であり、その人たちが、ネイティブスピーカーである」(Bloomfield, 1933)としており、既に日本語を学んだ日本人は、「ネイティブのような英語に近づく」ことはできても、「ネイティブになる」ことはできないのです。
 
 
そんな叶わない目標を設定することはナンセンスだと思います。
 
 
先ほども述べたように、「ネイティブ英語」というのは、あくまで基準として認識すべきであり、過度に「ネイティブ英語」に期待することは、英語を学習するうえで、自分で自分の首を絞めることになります。
 
 
 

 3. 「ネイティブ」と話すことはあまりない

 
最後の理由としては、英語の「ネイティブスピーカー」は、いまや世界では少数派であり、むしろ第二言語としての英語話者のほうが圧倒的に多いです。
 
 
Babbel (2021)によると、英語のネイティブスピーカーは、全体の英語話者の中で、4分の1未満しかおらず、一方で、第二言語として英語を使う話者は、約10億人いるとされています。
 
だとすると、多くの日本人が英語を使う際、その話し相手は「非ネイティブ」ということになります。
 
 
 
例えば、英語をよく使うであろう「観光業界」であっても、国際旅行者の74%は英語の「非ネイティブ」です(Graddol, 2006)。
 
 
さらに、多くの未成年日本人英語学習者(42.9%で最多)が英語を活かしたいと思っている場面である、「海外旅行」(GMO INTERNET GROUP、2017)に関しても、「アジアの国」に関して言えば、ネイティブ英語よりもむしろ「日本人英語」の方が便利なのです
 
 
 
英語の「ネイティブ」と「非ネイティブ」の話者が日本を含むアジアの国11か国の人々に英語で話す研究で(Smith & Rafiqzad, 1979)、日本人の英語は平均で75% (11か国中3位)理解されたのですが、アメリカ人の英語は55% (11か国中8位)しか理解されませんでした。
 
 
 
 
このように、もしあなたが「英語を使いたい」のであれば、「ネイティブ英語」にこだわる必要はまったくないのです。
 
 
皆さんが英語を学習する理由は「ネイティブのような発音を自慢したいから」ですか?それとも「英語を使って学んだり、外国の方とコミュニケーションを取りたいから」でしょうか?
 
 
「ネイティブ神話」にあまり執着せず、「使うため、伝わるための英語」を目指す方がむしろ健全な学習態度といえるのではないでしょうか。
 
 
学校の教科書の英語は、「ネイティブ英語」が多く、「それだけが正しい」と思う方もいるかもしれませんが、もし、児童・生徒・学生が色んなバラエティの英語に親しむ機会が増えれば、「自分の英語のアイデンティティー」のようなものを確立し、自分の英語にも自信が持てるようになるのではないでしょうか。
 
 
 
 

 4. まとめ

・今回は、「ネイティブ英語を話す必要がない理由」についてご紹介しました!

・その根拠は、①「ネイティブ」というのはあいまいな概念だから定義上、「ネイティブスピーカー」にはなれないから ③英語の会話の相手はほとんどが「ネイティブ」ではないからです。
 
 
 参考文献

     GMO INTERNET GROUP 「「英語に関する意識調査」を未成年・成人計10,000名に調査 ~英語の活用意欲は成人より未成年が高い傾向に~」(GMO株式リサーチ株式会社、2017年)https://www.gmo.jp/news/article/5792/
     Babbel. (2021). How many people speak English, and where is it spoken. Available at: https://www.babbel.com/en/magazine/how-many-people-speak-english-and-where-is-it-spoken# (accessed December 12 2021).
     Bloomfield, L. (1933). Language. Holt.

     Cook, V. (2016). Second language learning and language teaching (Fifth Edition). Routledge.

     Graddol, D. (2006). English Next. British Council.  https://www.teachingenglish.org.uk/sites/teacheng/files/pub_english_next.pdf

     Smith, L. E. and Rafiqzad, K.(1979). English for cross-cultural communication: The question of intelligibility. TESOL Quarterly, 13(3), 371-380.
 
 
楽しい英語学習を!!